介護保険の 過誤調整 とは? 申立の注意点や返戻との違いを解説!

過誤調整

介護保険の 過誤調整 とは、保険者から支払われる介護報酬額が決定している場合や、すでに支払いが完了しているものに誤りを発見した場合、その介護保険の請求を取り下げ、改めて再請求することです。 

過誤調整 を行うには、保険者と国保連合会による取り下げ内容の審議を受けなければなりません。 取り下げが認められ「介護給付費過誤決定通知書」が事業所に届き次第、正しい請求明細書を国保連合会に提出します。

また、過誤調整には、通常過誤調整と同月過誤調整、介護給付費縦覧審査にかかる過誤調整の3種類があります。

 

今回は、介護保険請求の過誤調整が発生する原因や、その場合の対処法を説明します。

 

過誤調整 が発生する原因とは?

過誤調整が発生する原因は、サービス提供回数や加算の算定誤りなど、本来請求するべき金額より低く請求したり、逆に高く請求したりした場合や、公費受給者(生活保護者等)に対して介護保険分のみを請求して既に支払いを受けた場合が該当します。 この場合には、過誤調整の請求をすることになります。

また、保険者等(市区町村)の監査で、要件を満たしていない請求や、サービス提供記録に記載されていない請求について指摘を受けた場合も過誤調整を行うことになります。

そのため、介護事業所は日頃から法令に則った事業が行われるように注意が必要です。

過誤調整 の種類

過誤調整には、次のような過誤調整方法があります。

過誤調整 の種類

通常 過誤調整

通常過誤は一般的な過誤処理の方法です。過誤(過誤処理)と正しい請求(再請求処理)を別々の審査月に行う過誤です。

  1. 通常過誤を行うには、まず事業所は被保険者の請求の場合は保険者、被保護者の請求の場合は保険者等に取り下げたい請求に対する過誤依頼をします。
  2. 保険者等に過誤依頼が受理されると保険者等から国保連合会に過誤申立の情報が送付され国保連合会にて過誤処理が実施されます。
  3. 過誤が決定すると国保連合会から事業所へ「介護給付費過誤決定通知書」が送付されます。 4.「介護給付費過誤決定通知書」で請求の過誤が決定したことを確認したら当該請求について正しい請求をする必要がある場合には翌審査月以降に再請求をします。

同月 過誤調整

同月過誤は過誤(過誤処理)と正しい請求(再請求処理)を同じ審査月に行う過誤です。

  • 同月過誤処理の対象であると認められる場合に実施することができます。
  • 同月過誤を行うには、事業所は保険者等に過誤依頼をした上で、同月過誤を実施する審査月の前月の20 日までに国保連合会に同月過誤処理依頼書を、月末までに国保連合会に再請求情報を提出します。

介護給付費縦覧審査にかかる 過誤調整 の場合

介護給付費縦覧審査にかかる過誤は「介護給付費縦覧審査(※)」に伴う過誤処理です。

※「介護給付費縦覧審査」とは…過去に介護給付費が支払われた請求について、複数月の請求内容や他の事業所の請求内容を確認して審査を行うものです。

  1. 国保連合会にて介護給付費縦覧審査を実施した結果、事業所に内容を確認していただく必要が生じた場合、国保連合会から事業所へ「介護給付費縦覧審査確認表」を送付されます。
  2. 「介護給付費縦覧審査確認表」の送付を受けた事業所は該当する請求が正しいか、誤りかを確認し、確認表等に結果を記入し国保連合会に返送します。なお、この際に請求誤り で請求明細書を過誤する必要が生じた場合には確認表等とあわせて「介護給付費明細書取り下げ依頼書【縦覧点検分】」を締切日までに国保連合会に提出します。
  3. 国保連合会にて過誤処理が実施され、過誤が決定すると、国保連合会から事業所へ「介護給付費過誤決定通知書」が送付されます。
  4. 「介護給付費過誤決定通知書」で請求の過誤が決定したことを確認したら当該請求について正しい請求をする必要がある場合には翌審査月以降に再請求をします。

過誤の取り扱いについて|北海道国民健康保険団体連合会 (hokkaido-kokuhoren.or.jp)

引用元:北海道国民健康保険団体連合会

介護保険の 過誤調整 を行う際の注意点

介護保険の過誤調整を行う際には次のようなことに注意しましょう。

過誤調整 はすべてのサービスが取り下げ対象

過誤調整は、請求明細書単位で処理されるため、複数のサービスが記載されている中で1項目だけ取り下げは出来ず、同じ請求明細書に記載されているすべてのサービスが取り下げられてしまいます。

過誤調整 ができるのは審議終了後

過誤申立後、再請求できるのは国民健康保険団体連合会の審査を経てからとなります。 毎月の過誤請求の締切日は市区町村によって異なります。事前に確認をとりながら進めていく必要があります。

過誤調整 後の差額超過分は現金支払い

過誤の金額が請求金額を超えてしまった場合、差額分を現金で支払う必要があります。 一度に複数の過誤調整をしなければいけない場合は、この金額が高額になることもあります。

本来請求すべき金額を間違えてしまったり、利用者のサービス内容を誤って請求してしまうなど、過誤調整が必要となる原因はさまざまです。 一度に大量の過誤が発覚すれば、大きな事務負担が生じるだけでなく、事業所の経営に大きなダメージを与える恐れもあるため、日頃から自主点検を徹底するよう心がけましょう。

生活保護受給者の過誤申立方法

介護保険併用の方は保険者へ,生保単独(Hではじまる番号)の方は担当の福祉事務所へ申立してください。

過誤調整 申立の同月過誤と通常過誤によって異なる金額の受け取り方法

同月過誤と通常過誤の金額の受け取り方法は次の通りです。

同月 過誤調整 申立での金額の受け取り方法

国民健康保険団体連合会の審査で、実績取下げおよび介護保険の再請求を同一審査月に併せて行います。 その場合、「過誤申立による介護報酬の減額(返金)」と「再請求による介護報酬」を相殺するように計算を行い、過不足額分を、他の介護報酬に加算・減算する方法です。

通常 過誤調整 申立での金額の受け取り方法

請求実績を取下げることにより、過誤調整額を差し引いた金額が事業所に支払われる方法になります。

過誤調整 を行う上での共通事項

「返戻」になったら「 過誤調整 」は不要

過去の審査で返戻(※)になり、それに対する再請求をしていない請求は過誤の必要がありません。 過誤は支払いが行われた請求に対して行うものだからです。 返戻になった請求には過誤調整を行わず、必要な場合は再請求をします。

※「返戻」とは…明細書を点検してエラーがあった場合、その請求は支払いが行われません。請求にエラーがあり支払いが行われなくなる状況が返戻です。

 返戻については、こちらで詳しく解説しています【返戻とは? 介護保険請求のしくみについて】。

請求受付期間中の差し替え又は取り消し

請求受付期間中に請求に誤りがあることが発覚し、差し替え又は取り消しする必要がある場合は、請求方法が伝送の事業所はお使いの伝送ソフトにて取消電文の送信と、差し替えの場合は修正した情報を送信することが可能です。

請求方法が媒体(CD又はFD)の事業所は国保連合会に連絡の上、修正した情報を格納した媒体を提出します。 いずれの場合も、請求受付締切内でなくては受付出来ないので、留意が必要です。

過誤調整 における給付管理票の修正又は取消

審査決定済みの給付管理票を修正又は取消する場合、請求方法が伝送、媒体(CD又はFD)の事業所はお使いの請求ソフトで情報区分「修正」又は「取消」の給付管理票情報を作成し、国保連合会に提出します(審査決定済みの給付管理票に対する「過誤」はありません)。 請求方法が帳票の事業所は該当する給付管理票の上部に朱書きで「修正」又は「取消」と記載して提出します。

給付管理票修正の場合、関連する明細書とのチェックが行われ、給付管理票取消の場合は、関連する明細書の過誤が行われます(したがって、審査決定済みの給付管理票の一部分を変更するような場合(例えば、審査決定済みの給付管理票に記載された事業所の内一部のみを取り消したい場合等)は給付管理票修正を提出すべき場合に該当します)。 なお、給付管理票修正又は取消と過誤を同じ審査月に実施することはできません。

よくある 過誤調整 が必要となるケース

請求内容(サービスコード・日数・回数・単位数等)に誤りがあった場合,どのように対応したらよいでしょうか(サービス事業所)。

保険者へ過誤の申立をして,過誤処理終了後に正しい内容で国保連合会へ再請求してください。 誤りがあった箇所のみを過誤することはできません。介護給付費明細書の請求金額全額が過誤の対象となりますので注意が必要です。

加算を付け忘れて請求した場合,どのように対応したらよいでしょうか(サービス事業所)。

加算のみについて請求することはできません。 保険者へ過誤の申立をして,過誤処理終了後に正しい内容で国保連合会へ再請求してください。

生活保護の情報を入力せずに請求し,保険給付(9割分)が決定した場合,どのように対応したらよいでしょうか(サービス事業所)。

生活保護に係る介護報酬(1割分)のみを遅れて請求することはできません。  保険者へ過誤の申立をして,過誤処理終了後に正しい内容で国保連合会へ再請求してください。

サービス計画費を過誤した場合,再請求はどのようにしたらよいでしょうか(居宅介護支援事業所)。

サービス計画費のみ再請求をしてください。給付管理票の提出は必要ありません。 給付管理票の内容に変更がある場合は,給付管理票の作成区分を「修正」として国保連合会に提出してください。

請求明細書・給付管理票ともに誤って決定している場合,どのように対応したらよいでしょうか(サービス事業所・居宅介護支援事業所)。

サービス事業所から保険者へ過誤の申立をして,過誤処理終了後,居宅支援事業所から給付管理票の修正を国保連合会へ提出してください。 その後,サービス事業所から国保連合会へ再請求をしてください。
※「過誤処理」と「給付管理票の修正」は同月にはできません(給付管理票がN7エラーとなります)ので,給付管理票の修正は次の時期に行ってください。

  • 単位数が減る場合・・・・過誤処理完了月翌月に給付管理票修正を実施
  • 単位数が増える場合・・・給付管理票修正完了月翌月に過誤処理を実施 ←給付管理票修正が完了する前に単位数が増える同月過誤を実施された場合, 再請求明細書が上限審査による返戻となり,通常過誤として取り扱われることがあります。

過誤申立の手順

・介護給付費過誤申立書

・請求明細書

これらの書類を各保険者介護保険課窓口に持参又は、郵送で提出してください(FAXや電子メールによる届出はできません)。

注意

・提出できるのは、介護給付費を請求した翌月からです(届出件数が多い場合は、事前に保険者に確認が必要です)。

・提出先保険者に給付実績がない場合は、過誤ができません(国保連で審査決定済であること)。

・返戻・保留などにより請求が確定していない場合なども過誤できませんので、確認してから申立をおこなってください。

・詳しくは各保険者ホームページをご確認下さい。

過誤調整 のまとめ

いかがでしたか?

仮に介護保険の請求額を間違えたとしても、過誤請求を行うことにより正しい請求額に修正することが可能ですが、手続きには2か月程度の期間が必要です。

過誤処理をすることによって事業経営にも影響が出てくる場合が考えられますので、事業主は事業所内での日頃からのチェック体制の徹底を図る必要があります。

まとめ

 

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