訪問介護 事業所とは? サービスの内容を紹介!
「 訪問介護 ってどんなサービスなの? 費用はどのくらい?」など、訪問介護がどのようなサービスなのか疑問を持っている方も多いと思います。
訪問介護サービスは、自分や家族だけで日常生活を営むことが難しくなったご利用者のご自宅にホームヘルパーが訪問して食事・排泄・入浴の介助や掃除・洗濯・買い物などの支援をおこなう介護保険サービスの一種です。
今回は、訪問介護の概要、サービス内容、利用するメリットなどを徹底解説します。 ぜひ最後までご覧ください。
訪問介護 とは
訪問介護 は、ご利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をします。 さらに、通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービスを提供する事業所もあります。
ホームヘルパーは、介護福祉士もしくは介護職員初任者研修、実務者研修いずれかの資格を保持している必要があります。 ただし、生活援助中心の支援については、生活援助従事者研修の資格でも従事可能になりました。
訪問介護 の利用条件・対象者
利用対象者は、要介護認定を受けており、ご自宅で生活している方となります。 そのため、まだ要介護認定を受けていない方は、まず住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請をする必要があります。
ここでいう「自宅」には、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、介護サービスを直接提供していない施設も該当しますが、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付有料老人ホームなどに入居している方は、施設内で介護サービスを受けられるため対象外となります。
引用元:厚生労働省
訪問介護 サービスを提供する事業所の職員体制
訪問介護サービスを提供する事業所の職員体制は、身体介護中心型、生活援助中心型のいずれも人員基準は同じです。 訪問介護の事業所には通常、以下の職員が配置されています。
サービス提供責任者(サ責)
サービス提供責任者(サ責)は、訪問介護員、サービス利用者のパイプ役となります。
訪問介護サービスの利用申し込みの調整、訪問介護計画書の作成、訪問介護員(ホームヘルパー)に対して具体的援助の指示、訪問介護員の業務管理、訪問介護員に対する研修、技術指導などを行います。
サービス提供責任者(サ責)は、常勤で訪問介護サービス利用者40人に対して1人以上とし、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員(ホームヘルパー)1級、または旧2級過程修了者のいずれかの資格を必要とします。ただし、利用者数が40人を超えるごとに1人以上追加配置しなければなりません。
訪問介護 員(ホームヘルパー)
訪問介護員(ホームヘルパー)は、自宅を訪問し、生活援助、身体介助などを行います。 訪問介護員が、常勤換算で2.5人以上配置すること、となっています。
管理者
管理者は常勤で専ら管理の職務に従事することとなっています。
訪問介護 で受けられるサービス
訪問介護で提供されるサービスは、ケアマネジャーの作成するケアプランに基づき提供されます。 サービス担当者会議にて、ご本人、ご家族、サービスを提供することになる事業所間で話し合いのうえ決定します。
訪問介護として提供するサービスは、身体介護、生活援助、通院乗降介助になります。それぞれのサービス内容について確認していきます。
① 訪問介護 サービス 身体介助
身体介助は、食事や入浴、排泄など直接身体に触れておこなう介護サービスを指します。具体的には、次のようなサービスが含まれます。
- 食事介助:食事の際の支援
- 入浴介助:入浴準備、全身又は部分浴(顔、髪、腕、足、陰部など部分的な洗浄)
- 清拭:入浴ができない場合などに体を拭いて清潔にすること
- 排せつ介助:トイレの介助やおむつの交換など
- 身体整容:洗顔、歯磨き、整髪、爪切り、耳かき、髭剃りなど
- 歩行介助:自分の足で歩くことができるように介助を行うこと
- 更衣介助:衣類の着脱など着替えの介助
- 体位変換:ベッド上など床ずれ予防のための姿勢交換
- 移乗介助:ベッドから車いすに移す際の介助
- 移動介助:「起き上がる」「座る」「歩く」といった行為が困難な場合や、移動の際に介助をすること
② 訪問介護 サービス 生活援助
生活援助は、生活に必要な家事を自身で行なえない場合にホームヘルパーが援助するサービスを指します。具体的には、次のようなサービスが含まれます。
- 掃除:居室内の掃除、ゴミ捨てなど
- 洗濯:衣類を洗い、たたんで、整理まで
- 料理:食事の準備や調理から片付けまで
- 買い物:日用品の買い出しの代行
- ベッドメイク:シーツの交換や布団の準備
なお、生活援助は、あくまでご利用者本人の日常生活を援助するものです。 ご利用者以外のご家族の食事準備、掃除、留守番、ペットの世話、草むしりなど日常生活の範囲を超える家事については、訪問介護で行えません。
③ 訪問介護 サービス 通院等乗降介助
ご利用者が通院等を行う際に、ホームヘルパーが車の乗り降りの介助を行うサービスを「通院等乗降介助」といいます。
乗車と降車の介助や病院と車までの移動、受診や薬の受け取りの介助をおこないます。 ただし、病院内の移動や介助は、医療サービスとして病院の看護師などが対応するため、通院等乗降介助は利用できません。
訪問介護 で受けられないサービス
訪問介護は、ご利用者の日常生活を支援するサービスです。 そのため、ご利用者以外の方に関するサービスや日常生活の範囲を超えるサービスは介護保険対象外になります。
ご利用者の援助に直接該当しないもの
ご家族分の食事や洗濯、ご利用者以外が使用している部屋の掃除、来客の対応などはご利用者の援助に直接該当しないため受けられません。
日常生活の範囲を超えるもの
日常生活の範囲を超えるサービスについても、訪問介護サービス対象外となります。 留守番、庭木の手入れや草むしり、ペットの世話、窓のガラス拭き、家具家電の修理、郵便物の投函なども対象外となります。
医療行為にあたるもの
- インスリンの注射
- 点滴
- 経管栄養 ※一定の研修を受けた介護職員等は一定の条件の下で実施可能
- たんの吸引 ※一定の研修を受けた介護職員等は一定の条件の下で実施可能
- 摘便や床ずれの処置、など
訪問介護 適用外サービスを利用したいとき
家具の移動、庭木の剪定、同居する家族分の洗濯、来客対応などは保険対象外となりますが、介護保険外サービスを活用すれば、保険適用外のサービスも受けることができる可能性があります。 介護保険が適用されないため、全額自己負担となってしまいますが、介護認定を受けていない方でも、支援を受けたいときに利用できるサービスです。
訪問介護 を受けるまでの流れ
訪問介護サービスでの、要介護認定申請からサービス利用開始までの流れを紹介します。
①要介護認定の申請
お住まいの市区町村の担当窓口で要介護認定の申請をおこないます。
原則本人が申請しますが、家族や地域包括支援センター等による申請代行も可能です。
②認定調査と審査・判定
認定調査員がご自宅を訪問し、認定調査をおこないます。申請日から30日以内に市区町村から本人(被保険者)へ郵送で通知されます。その際、被保険者証に該当する要介護状態区分が記載されます。認定は申請日に遡って効力が生じます。
③認定結果に応じてケアマネジャーがケアプラン作成
介護認定が出たあと、その認定結果に応じてケアマネジャー等がケアプランを作成します。 認定結果が要支援1~2の場合は地域包括支援センターが、要介護1~5の場合は居宅介護支援事業所が担当します。 作成されたケアプランに基づき、サービスを提供する訪問介護事業所と契約を結びます。
- 訪問介護サービスの利用をするにあたり、どの事業者を選べば良いか迷うことも多いでしょう。 自分たちが望んでいるサービスを事業者から受けられるものか、ニーズに応えてくれる事業者を選びましょう。 複数の事業者のパンフレットを比較したり、担当者と直接会って説明を受け、希望するサービスがしっかりと受けられるか確認しましょう。
④ 訪問介護 サービスの利用開始
訪問介護サービスが開始されます。
デイサービス(通所介護)との違い
在宅介護サービスで、訪問介護とよく比較されるのが、デイサービス(通所介護)です。
訪問介護は、ホームヘルパーが利用者の自宅に訪問して介護サービスを提供しますが、デイサービスは介護事業所に通いながら、施設に勤務する介護スタッフによる介護サービスを受けるという大きな違いがあります。
デイサービス(通所介護)については、こちらをご参照下さい。
関連記事: 通所介護 (デイサービス)とは? サービスの内容を詳しく解説!
訪問介護 の利用料金
訪問介護の利用料の目安は下表の通りです。 利用負担は所得に応じ1割~3割負担に区分されます。
表:訪問介護1回当たりの自己負担額の目安(2024年4月1日時点)
サービス内容 | 時間 | 単位 | 料金目安 | 自己負担 (1割) | 自己負担 (2割) | 自己負担 (3割) |
身体介護 | 20分未満 | 163 | 1,630円 | 163円 | 326円 | 489円 |
| 20分以上30分未満 | 244 | 2,440円 | 244円 | 488円 | 732円 |
| 30分以上1時間未満 | 387 | 3,870円 | 387円 | 774円 | 1,161円 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 567 | 5,670円 | 567円 | 1,134円 | 1,701円 |
| 以降30分増すごとに | +82 | ||||
生活援助 | 20分以上45分未満 | 179 | 1,790円 | 179円 | 358円 | 537円 |
| 45分以上 | 220 | 2,200円 | 220円 | 440円 | 660円 |
通院等乗降介助 | 97 | 970円 | 97円 | 194円 | 291円 |
- 地域区分によって単価が異なります(地域単価10円で計算しています)。
- 初回月内にサービス提供責任者が自ら訪問介護を行う場合など1月につき200円が加算されます。
- 利用者やその家族から緊急に訪問介護の要請があり、ケアマネジャーが認めて身体介護を行った場合、1回につき100円が加算されます。
- 早朝・夜間(6時~8時、18時~22時まで)は25%増し、深夜(22時~6時まで)は50%増しとなります。
- 事業所と同一敷地内または隣接する建物に居住する人の場合、自己負担額×90%(10%減算)。 ただし、同一敷地内または隣接する建物に居住する利用者の人数が1か月あたり50人以上の場合は自己負担額×85%(15%減算)となります。また、上記以外の範囲に所在する建物に居住する人で、その建物に居住する利用者の人数が一か月あたり20人以上の場合は、自己負担額×90%(10%減算)です。加えて、2024年介護報酬改定で正当な理由なく、事業所において、前6ヵ月間に提供した訪問介護サービスの提供総数のうち、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(2に該当する場合を除く)に提供されたものの占める割合が90%以上である場合は、自己負担額×88%(12%減算)が追加となります。
- 身体介護に引き続き生活援助を行う場合には20分から起算して25分増すごとに65円追加されます。
- 事業所によっては、訪問介護処遇改善加算等、各加算が加わります。
訪問介護 の2024年介護報酬改定内容
2024年度の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が生活援助・身体介護・通院等乗降介助とも引き下げとなっております。
その分、「介護職員等処遇改善加算」の加算率がほかのサービスと比較して高く設定されています。
引用元:厚生労働省
身体介護
サービス名称略称 | 算定項目 | 2024年4月改定前 | 2024年4月改定後 |
身体介護01 | 身体介護が中心20分未満 | 167 | 163 |
身体介護1 | 身体介護が中心20分以上30分未満 | 250 | 244 |
身体1生活1 | 身体介護が中心20分以上30分未満に引き続き 生活援助20分以上45分未満行った場合 | 317 | 309 |
身体1生活2 | 身体介護が中心20分以上30分未満に引き続き 生活援助45分以上70分未満行った場合 | 384 | 374 |
身体1生活3 | 身体介護が中心20分以上30分未満に引き続き 生活援助70分以上行った場合 | 451 | 439 |
身体介護2 | 身体介護が中心30分以上1時間未満 | 396 | 387 |
身体2生活1 | 身体介護が中心30分以上1時間未満に引き続き 生活援助20分以上45分未満行った場合 | 463 | 452 |
身体2生活2 | 身体介護が中心30分以上1時間未満に引き続き 生活援助45分以上70分未満行った場合 | 530 | 517 |
身体2生活3 | 身体介護が中心30分以上1時間未満に引き続き 生活援助70分以上行った場合 | 597 | 582 |
身体介護3 | 身体介護が中心1時間以上 | 579 | 567 |
身体3生活1 | 身体介護が中心1時間以上に引き続き 生活援助20分以上45分未満行った場合 | 646 | 632 |
身体3生活2 | 身体介護が中心1時間以上に引き続き 生活援助45分以上70分未満行った場合 | 713 | 697 |
身体3生活3 | 身体介護が中心1時間以上に引き続き 生活援助70分以上行った場合 | 780 | 762 |
身体介護 1時間以上 567単位に30分を増すごとに +82単位
生活援助
サービス名称略称 | 算定項目 | 2024年4月改定前 | 2024年4月改定後 |
生活援助2 | 生活援助が中心20分以上45分未満 | 183 | 179 |
生活援助3 | 生活援助が中心45分以上70分未満 | 225 | 220 |
通院等乗降介助
サービス名称略称 | 2024年4月改定前 | 2024年4月改定後 |
通院等乗降介助 | 99 | 97 |
訪問介護 の各加算・減算
サービス名称略称 | 2024年4月改定前 | 2024年4月改定後 |
初回加算 | 200 | 変更なし |
緊急時訪問介護加算 | 100 | 変更なし |
生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100 | 変更なし |
生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200 | 変更なし |
口腔連携強化加算 | 1回につき 50単位(1月に1回を限度) | |
認知症専門ケア加算(Ⅰ) | 1日につき3単位 | 変更なし |
認知症専門ケア加算(Ⅱ) | 1日につき4単位 | 変更なし |
特定事業所加算(Ⅰ) | 所定単位数の20% | 変更なし |
特定事業所加算(Ⅱ) | 所定単位数の10% | 変更なし |
特定事業所加算(Ⅲ) | 所定単位数の10% | 変更なし |
特定事業所加算(Ⅳ) | 所定単位数の5% | 所定単位数の3%(現行の特定事業所加算(Ⅳ)は廃止となり現行の特定事業所加算(Ⅴ)が新たな特定事業所加算(Ⅳ)として扱われる) |
特定事業所加算(Ⅴ) | 所定単位数の3% | 所定単位数の3%(中山間地域へのサービス提供などを評価する名目で、特定事業所加算(Ⅴ)が新設) |
高齢者虐待防止措置未実施減算 | 訪問介護費または共生型訪問介護費に対して-1% | |
業務継続計画未策定減算 | 訪問介護費または共生型訪問介護費に対して-1%(令和7年4月1日から適用) | |
訪問介護処遇改善加算Ⅰ | 所定単位数の13.7%加算 | 現行の内容で令和6年5月31日まで算定可能 |
訪問介護処遇改善加算Ⅱ | 所定単位数の10.0%加算 | 現行の内容で令和6年5月31日まで算定可能 |
訪問介護処遇改善加算Ⅲ | 所定単位数の5.5%加算 | 現行の内容で令和6年5月31日まで算定可能 |
訪問介護特定処遇改善加算Ⅰ | 所定単位数の6.3%加算 | 現行の内容で令和6年5月31日まで算定可能 |
訪問介護特定処遇改善加算Ⅱ | 所定単位数の4.2%加算 | 現行の内容で令和6年5月31日まで算定可能 |
介護職員等ベースアップ等支援加算 | 所定単位数の2.4%加算 | 現行の内容で令和6年5月31日まで算定可能 |
訪問介護処遇改善加算(Ⅰ) | 所定単位数の24.5%加算(令和6年6月1日以降算定可能) | |
訪問介護処遇改善加算(Ⅱ) | 所定単位数の22.4%加算(令和6年6月1日以降算定可能) | |
訪問介護処遇改善加算(Ⅲ) | 所定単位数の18.2%加算(令和6年6月1日以降算定可能) | |
訪問介護処遇改善加算(Ⅳ) | 所定単位数の14.5%加算(令和6年6月1日以降算定可能) | |
訪問介護処遇改善加算(Ⅴ) | 所定単位数の22.1~7.6%加算(2024年6月1日から令和7年3月31日まで算定可能) |
まとめ
今回は、訪問介護サービスの概要や利用開始までの流れを解説しました。
高齢者や、その家族が共に安心して在宅での生活を維持していくには訪問介護はなくてはならない存在です。
「住み慣れた家や家族のもとで、安らかに暮らしたい」そんな高齢者の気持ちを少しでも叶えるために欠かせないサービスが訪問介護です。
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