居宅介護支援事業所での 介護保険請求 の流れ
居宅介護支援事業所でも、サービス提供月(例:9月で提供する場合)の翌月10日(10月10日締切)までに国民健康保険団体連合会へ請求します。 ただし、 介護保険請求 作業は居宅介護支援事業所にとっても煩雑な作業であることはかわりありません。
そこで、介護サービス事業所の介護保険請求の流れ』を前回紹介したように、居宅介護支援事業所での介護保険請求の流れや、支払のスケジュールを紹介します。
介護サービス事業所の介護保険請求の流れはこちらで解説しています。
参考記事:介護サービス事業所の介護保険請求の流れ
介護保険被保険者証の確認事項
- 被保険者番号
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 交付年月日
- 要介護度
- 「非該当」 「要支援1~2」 「要介護1~5」 のいずれかが印字されています。
- 認定有効期間
- 介護保険請求を始める前に介護保険証の有効期限が満了していないか確認しておきます。 認定結果が出ていない場合は請求を行うことが出来ません。
- 給付制限の有無
- 介護保険料を一定の期間滞納している人に対して、要介護認定を受けてサービスを受けている場合、次のような保険給付を制限する措置がとられ、被保険者証に記載されます。
- 現物給付を償還払いとする措置(1年経週後)※1
- 保険給付の支払いを一時差し止める措置(1年6か月経週後)
- 一時差止めを受けている人がさらに滞納を続けると、差し止められた保険給付から滞納保険料を控除(相殺)する措置
- 介護保険料を一定の期間滞納している人に対して、要介護認定を受けてサービスを受けている場合、次のような保険給付を制限する措置がとられ、被保険者証に記載されます。
- 担当居宅介護支援事業所
- 居宅サービス計画若しくは介護予防サービス・支援計画の作成を依頼する事業所名などが記載されます。 計画を自己作成した場合、「自己作成」と記載されます。
※1 償還払いについては、こちらを参照ください。
参考記事:償還払い とは? その内容と必要な手続について解説!
また、生活保護受給者は介護券をあわせて確認しておきます。
居宅介護支援事業所での 介護保険請求 時の手順
居宅介護支援事業所での 介護保険請求 の流れは以下のようになります。
居宅介護支援事業所でも、サービス提供月(例:9月で提供する場合)の翌月10日(10月10日締切)までに国民健康保険団体連合会へ請求します。
・利用者より、サービス計画の作成依頼を受け、契約を行います。
・利用者向けに1カ月の介護保険サービス内容を作成し、利用票・利用別票を利用者に交付します。
・サービス提供事業者と依頼するサービス内容を調整し、サービス提供票・提供別票を交付します。
・サービス提供後、サービス提供事業者より、サービス提供票・提供別票で実績内容を確認します。
・「給付管理票」と「居宅介護支援介護給付費明細書」を作成し、期限内に国保連へと請求します。
・国保連合会より居宅介護支援費の支払いを受けます。
給付管理票と居宅介護支援介護給付費明細書の作成
居宅介護支援事業所では、給付管理票と居宅介護支援介護給付費明細書を作成する必要があります。
・給付管理票
(サービス利用票の実績を元に居宅介護支援事業所等が作成します)
・居宅介護支援介護給付費明細書
(被保険者ごとのサービス単位数や請求額の合計額が記されたものになります)
引用元: 独立行政法人 福祉医療機構 WAMNET
国保連合会へ提出した書類は審査され、審査結果とともに各保険者へ提出されます。 保険者から国保連合会へ支払いがなされ、国保連合会から事業所へ支払いされるのは翌々月末頃です。
ただし、請求内容に誤りがあれば返戻となり、再請求などの処理が必要になりますので注意しましょう。
国保連から、審査支払結果帳票が送られてきます。 万が一、審査を通過しなかった場合は次の提出日までに内容を修正し、再請求を行います。
給付管理票を再提出する場合は、サービス提供事業所との調整が発生するため、早急に取りかかる必要があります。
請求から審査・支払いまでの流れは次のとおりです。
事業者から国保連合会への介護報酬請求受付締め切り | サービス提供月の翌月10日 |
国保連合会から保険者への介護報酬請求 | サービス提供月の翌々月15日 |
保険者から国保連合会への振り込み入金 | サービス提供月の翌々月25日 |
国保連合会から事業者への振り込み入金 | サービス提供月の翌々月末 |
介護保険請求から支払いまでのスケジュール
前項の解説と内容が重複しますが、居宅介護支援事業所へ支払われる介護給付費は、国保連での審査を通過しなければならないため、支払いまでに1カ月半ほどの期間がかかります。
そのため、国保連から支払いを受けるのは請求した月の翌月27日頃です。
介護給付費請求書は電子請求が原則
介護報酬の請求では、インターネット経由で請求情報伝送が原則になっています。 インターネット経由での請求を行うために、民間の会社が販売している『介護請求ソフト』や公益社団法人国民健康保険中央会が販売している『介護伝送ソフト・簡易入力ソフト』などを利用することになります。
これらのソフトでは、介護給付費明細書を作成することで、介護給付費請求書に集計することができるので、転記・集計といった業務を効率化することができ、転記等によるミスを減らすことができます。
介護給付費請求の際の注意点
介護給付費請求書や介護給付費明細書の内容に誤りや不備があると、国保連による一次審査や各市区町村などの保険者による二次審査が通らず、「返戻」となってしまいます。
資金繰りの圧迫要因となるため、慎重な対応が求められます。
返戻とは?
介護給付費請求書や給付管理表が審査され不備が見つかった結果、支払処理が出来ずに事業所へ国保連合会から請求書類が差し戻されることです。
審査月の翌月初めに国保連合会から事業所へ審査結果通知が送付されます。
※ 返戻については、こちらで詳しく解説しています。
保留とは?
居宅介護支援事業所から「給付管理票」の提出がされていない場合や給付管理票が返戻となっている場合、サービス事業所から国保連へ提出された介護給付費請求書等が一定期間審査保留されます。
請求情報は保留される期間内(通常2カ月間)に、居宅介護支援事業所から給付管理票が提出されれば国保連から支払いが行われ、提出がなかった場合は介護給付費請求書や介護給付費請求明細書が返戻となります。
このため、居宅介護支援事業所では、給付管理票の提出状況をしっかり確認しておく必要があります。
居宅介護支援事業所が地域包括支援センターから委託を受けた場合
要介護度認定が要支援1もしくは要支援2であった場合、地域包括支援センターが直接担当するか、居宅介護支援事業所にサービスを委託することがあります。
その場合、介護保険請求の流れは以下の通りです(居宅介護支援事業所から国保連に介護保険請求を直接行うわけではありません)。
そのかわり、「委託費」という形で費用を払ってもらいます。
- 地域包括支援センターと居宅介護支援事業所が業務委託契約を締結する。
- 介護予防サービス・支援計画表(原案)を作成しサービス担当者会議の開催。
- 支援計画について利用者及び家族に説明を行う(同意書欄に自署又は代理人の署名・押印をもらう)。
- 地域包括支援センターに介護予防サービス・支援計画表(原案)の確認依頼(地域包括支援センターは支援計画が適切か確認し、確認欄に所属地域包括名と確認者氏名を記入)。
- 利用者及びサービス提供事業所へ介護予防サービス・支援計画表を交付。
- 各サービス提供事業者からの連絡を基に【サービス利用票】・【サービス利用票別表】を作成、交付する。
- サービス提供後、介護サービス事業者からの実績報告(実績入力済みのサービス提供票等)を確認する。
- 委託費請求書を作成し、地域包括支援センターにサービス提供実績の報告。
- 地域包括支援センターから委託費の支払いを受ける。
※毎月 1 度は「モニタリング」を実施し、利用者の状況を把握する。
※介護予防サービス・支援計画表に位置付けた「期間」が終了する前に評価を行い介護予防支援・サービス評価表を作成する。
スムーズな 介護保険請求 業務のために、事前にやっておきたいこと
請求業務をスムーズに進める上で、は下記の事前準備を行っておくと良いです。
◎サービスの利用予定変更の場合の連絡
サービス提供票の予定が変更になる場合は、サービス提供事業所へ変更したサービス提供票を送付すると請求処理がスムーズに進行します。
◎区分変更時の注意点
・要介護度が変更になる可能性があるため、事前にサービス提供事業所へ連絡し、要介護度が確定するまでは、請求をストップするようサービス提供事業所へ伝えます。
・要介護認定確定後はすみやかにサービス提供事業所へ結果を連絡し、確定後のサービス提供票を交付し、月遅れ請求をいつ行うのかも併せて確認しておきます。
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