償還払い とは? その内容と必要な手続について解説!

償還払いとは

介護保険で、福祉用具を購入したときに「 償還払い 」と言われました。自己負担分のみ支払うわけではないのですか? 仕組みや手続き方法がわかりません。

このような疑問を抱えているのではないでしょうか?

「償還払い(しょうかんばらい)」は、介護サービスや医療サービスの給付方法のひとつで、

利用者が一次的に費用を全額支払い、自治体に必要な手続きを経て、一部について払い戻しを受ける給付方法です。

償還払いの基本的な仕組みから確認していきましょう。

1. 償還払い とは

「償還払い」とは、利用者が一時的に費用を全額支払い、自治体に必要な手続きを経て、一部について払い戻しを受けることです(総合事業サービスは、償還払いの対象外です)。

介護サービスの場合、介護保険の自己負担額は原則1割負担(一定以上の所得がある場合は2割または3割負担)であるため、9割(8割、7割)が払い戻されます。

例えば、介護サービスでの費用1万円で償還払いすると、1割負担の場合、まず事業者に1万円支払い、手続きを経て9千円が払い戻しされる仕組みです(居宅介護(予防)サービス計画費は自己負担がない費用のため、10割分が払い戻されます)。

また、各種介護保険サービスを利用するには、事前に要支援・要介護認定を受けておかなくてはなりません。

2. 償還払い が必要とされる主な費用

2-1.福祉用具の購入費

ポータブルトイレ

福祉用具の購入費は償還払いとなります。

※自治体によっては、償還払いのほかに「受領委任払い」を行なっている場合があります。

受領委任払いとは、自己負担分のみを事業者に支払い、事業者が市区町村に申請することで、追って補填される流れであり、一般的な介護サービスの利用方法となっています。

基本的に、福祉用具販売や住宅改修は償還払いですが、自治体によっては受領委任払いが選べるため、確認しましょう。

介護をサポートする福祉用具は、基本的にレンタルできます。

しかし、以下の福祉用具は、衛生面や耐久面から利用者が買い取ることになっています。

〇腰掛け便座

〇自動排泄処理装置の交換可能部分

〇入浴補助用具(浴槽用手すり・入浴用いす・浴槽用いす・入浴台など)

〇簡易浴槽 ・移動用リフトのつり具の部分

※償還払いを受けるには都道府県から指定を受けている事業者から購入しなければなりません。

2-2.住宅改修費

住宅改修

ケアマネージャーに相談した上で、工事を行う建築業者を選びましょう。

建築業者を選ぶことは今後にとっても非常に重要です。 介護保険での住宅改修にくわしい事業者を選定しましょう。

介護保険での住宅改修では、どんな改修工事をできるわけではなく、以下の6つの工事のみ適応されます。

〇手すりの取り付け

〇段差の解消

〇滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更

〇引き戸等への扉の取替え

〇洋式便器等への便器の取替え

〇その他上記の住宅改修に付帯する工事

上限20万円までの改修であれば、原則1割の自己負担で介護に適した住宅環境に整備することができます。

※ 介護保険の住宅改修では工事内容の決定後「住宅改修が必要な理由書」の作成が必要です。

2-3.高額介護サービス費

高額介護サービス費

介護保険サービスの利用額が上限を超えてしまった場合、申請することによって超過分が払い戻されるのが「高額介護サービス費」という制度です。

 高額介護サービス費制度の対象となる方や払い戻しされる条件は人によって異なります。

生活保護を受給している方等 15,000円(個人)
世帯内の全員が市町村民税を課税されていない方    24,600円(世帯)
※上記の条件かつ前年の合計所得金額と公的年金収入の合計が80万円以下の方24,600円(世帯) 15,000円(個人)
世帯内のいずれかが市町村民税を課税されており、一定の所得がある方44,400円(世帯)

高額介護サービス費も償還払いなので、上限をオーバーした分も含めていったん支払う必要があります。

2-4.要介護認定を受ける前にサービスを受けたとき

介護保険サービスは、基本的には法定代理受領方式(保険者からサービス事業所に、ご利用者様の自己負担分を差し引いた費用を支払い、ご利用者様は最初から自己負担分のみをサービス事業所に支払います)になりますが、

要介護認定申請中、その認定がおりる前に、やむを得ない理由によって介護サービスを利用した場合も償還払いが適用されます。

認定を受けた後に償還払いを申請すれば、9割(所得によっては8割または7割)が払い戻されます。

また、認定を受けていて、急遽ケアプランにないサービスを利用したときも償還払いが可能です。

2-5.保険料の滞納により支払方法の変更の措置を受けているとき

介護保険料の支払いが一定期間以上、滞ってしまうと滞納処分として、すべてのサービス利用料が償還払いとなります。

償還払い化や給付額減額の措置は、介護保険被保険者証に記載した上で行うものであるため、介護保険請求後、返戻となることで発覚するケースが多いです。

償還払いとなった場合、利用者様に一時的に大きな負担が生じますので、滞納分を早めに解消し、償還払いを解除する必要があります。

※保険料滞納者に対する保険給付の制限に関して厚生労働省より都道府県に配布されたQ&Aを参考までに添付します。

3.償還払い の手続き

償還払いの手続き

3-1.福祉用具購入時の償還払い 手続きに必要な書類と流れ

市区町村へ申請する書類は通常下記が必要です。

  1. 福祉用具購入費支給申請書(署名、もしくは記名押印が必要)
  2. 福祉用具サービス計画書(写し)
  3. 選定理由
  4. 領収証の原本(宛名は利用者(被保険者)のフルネーム、領収年月日、但し書きに購入品目を記入したもの。5万円以上は収入印紙貼付、複数購入は各々の品名金額が必要)
  5. パンフレット等(写し)(すのこの購入の場合は、図面と見積りも必要)
  6. 請求書

※排せつ予測支援機器にかかる申請の場合は、以下の(1)と(2)の書類の提出も必要です。

  1. 要介護者等の膀胱機能にかかる医学的な所見を確認できる書類の写し(介護認定審査における主治医の意見書等)
  2. 排せつ予測支援機器 確認調書(福祉用具サービス計画書等に確認調書と同内容が記載されていれば、提出不要)

提出された書類をもとに市区町村の介護保険課で審査があります。

審査の結果、福祉用具の購入が保険給付の対象になると認められたときには、介護保険課から「介護保険支給決定通知書」が申請者へ送付され、ご本人の口座に福祉用具購入費の保険給付金が振り込まれます。

3-2.住宅改修時の 償還払い 手続きに必要な書類と流れ

市区町村へ申請する書類は通常下記が必要です。

  1. 介護保険住宅改修申請書
  2. 住宅改修の見積書
  3. 住宅改修の図面
  4. 改修場所の写真(日付入り)
  5. 住宅改修が必要な理由書
  6. 償還払い用口座記入用紙(申請書に記載する場合もある)
  7. 印鑑

提出された書類をもとに市区町村の介護保険課で審査があります(介護保険課の許可がおりてから住宅改修の実施(工事着工)を行います)。

問題なく工事が終了した後に工事代金を建築業者へ支払います(工事完了後の区への住宅改修費の申請には通常下記が必要です)。

  1. 住宅改修完了届(市区町村指定の用紙がある場合)
  2. 工事完了後写真(日付入り)
  3. 領収書(明細書)
  4. 返金先口座番号(完了届に記入する場合が多い)
  5. 印鑑

工事完了後の申請を行ったあとに市区町村にて審査が行われます。

審査終了後に住宅改修費として申請した内容の7~9割が償還払いされます。(最大18万円)

3-3.「介護保険サービス費」の 償還払い 手続きに必要な書類と流れ

申請に必要な物は以下の5つになります。

お住いの市区町村によって追加で必要になる場合もありますので、事前に確認しましょう。

  1. 介護サービス費支給申請書
  2. 介護サービスを受けた領収証(宛名が申請者のもの)
  3. サービス提供証明書(サービスを提供した事業所から交付を受けます)
  4. 申請者の印鑑
  5. 申請者の銀行口座番号や名義がわかるもの 申請書は市区町村の担当窓口またはホームページから入手できます。

償還払いは、お住まいの市区町村の窓口に必要書類を添えて申請します。 手続きの手順は以下の通りです。

  1. 介護保険サービスの利用料を事業者に全額支払う。
  2. 事業者に領収書(原本)やサービス提供証明書を発行してもらう。
  3. 必要書類等を揃えて、市区町村の窓口で償還払いの申請をする。
  4. 申請が適正と判断されると9割(または7割・8割)払い戻される。

※申請内容が承認されれば、原則として申請のあった月の翌月末以降に支給されます。

※償還払いの申請は、対象となるサービス費用を支払った日(領収日)の翌日から2年間、申請できます。

※サービス事業所は、国民健康保険団体連合会への請求は行えません。

※サービス提供証明書は、サービスを提供し利用者からサービス費用全額(10割分)を領収した際に、サービス内容を証明する書類として、事業者が利用者に対して交付するものになります。
記載事項は、介護給付費明細書と同様で、サービス提供月・事業者ごとに作成します(様式番号は、介護給付費明細書と同じものです)。

手続きの流れや留意点は自治体によって異なる場合があるため、市区町村のホームページや窓口で事前に確認しましょう。

4. 償還払い における注意事項

4-1.支給限度額を超える分はどうなるの?

償還払いの支給額には介護サービスによって上限があります。

福祉用具の購入は一年間で10万円、住宅改修は要支援・要介護度に関わらず20万円が支払限度額の上限となっています。

例えば、住宅改修費に25万円支払う場合、まず25万円全額を支払います。

そのうち、5万円が自費での支払いになり、20万円のうちのの9割(8割又は7割の場合もあり)が償還払いされます。

つまり18万円が償還払いで払い戻しされ、実質の自己負担額は7万円となります。

4-2.「受領委任払い」との違いは?

自治体によっては、償還払いのほかに「受領委任払い」を行なっている場合があります。

受領委任払いとは、自己負担分のみを事業者に支払い、事業者が市区町村に申請することで、追って補填される流れであり、一般的な介護サービスの利用方法となっています。

基本的に、福祉用具販売や住宅改修は償還払いですが、自治体によっては受領委任払いが選べるため、確認しましょう。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

償還払いは一時的な出費が増えるものの、適切に申請をすれば原則9割が払い戻されます。 

保険給付は、申請を受けてから国民健康保険団体連合会で審査を行うため、申請月から2、3か月後に支給を受けることとなります。

利用予定のサービスの支払い方法は事前に確認するとともに、お住いの自治体の償還払いの仕組みを確認しておきましょう。

まとめ

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