訪問看護 とは? サービスの内容と費用について

訪問看護 は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の心身機能の維持回復などを目的として、看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行います。

地域の医療機関や 訪問看護 ステーションから、主治医の指示により看護師等がその方が生活する場所へ訪問し、医療的ケアを提供します。

ここでは、そのサービス内容や費用について説明します。

訪問看護

訪問看護 とは

訪問看護とは看護師などの医療関係者が自宅に訪問して、主治医の指示に基づき、療養上必要な世話や医療行為を行う看護サービスです。 サービスの内容としては下記のとおりです。

Microsoft PowerPoint - 08_資料3_訪問看護(クレジット修正) (mhlw.go.jp)

引用元:厚生労働省

訪問看護 で受けられるサービス内容

サービス内容

訪問看護では、以下のようなサービスを受けられます。

  • 血圧、脈拍、体温などの測定、病状のチェックなど
  • 排泄、入浴の介助、清拭、洗髪など
  • 在宅酸素、カテーテルやドレーンチューブの管理、褥瘡の処理、リハビリテーションなど
  • 在宅での看取り
  • 床ずれ防止の工夫や指導、床ずれの手当て
  • ご家族等への介護指導・相談
  • 低栄養や運動機能低下など介護予防のアドバイス

要支援者または要介護者は、原則、介護保険が適用されます。 ただし、要支援者または要介護者であっても、がん末期等厚生労働大臣が定める疾病等の方、急性増悪による頻回な訪問が必要な方、精神科訪問看護の対象者は医療保険の適用となります。

また、ご本人は寝たきりの状態でご家族が介護をしている家庭にも訪問し、褥瘡(じょくそう ※床ずれのこと)の処置や医療機器の管理、在宅でのリハビリテーション、排泄のケア、療養上の指導や栄養相談なども行います。

その他がん末期や、老衰、疾患による終末期にも自宅で過ごせるよう、医療的ケアを受ける方もいます。

ちなみに訪問看護と似たような言葉に訪問介護などがあります。

訪問介護では、ホームヘルパーなどが自宅を訪問して、患者さんの日常生活を「サポート」しますが、サービスに医療行為は含まれません。

訪問看護と病院での看護の違い

病院での看護が治療であるのに対し、生活の場である在宅での訪問看護は「その人らしい暮らし」が優先されます。

「病気の治療・管理を目指す看護」が中心の病院看護に比べて、訪問看護では、「利用者さま・ご家族の意思や生活を尊重しながら、自立を支援していく看護」が求められています。

訪問看護 で訪問してくれる人

訪問看護師

保健・医療の十分な看護等の知識・技術を持つ看護職(看護師・准看護師・保健師・助産師(健康保険法の指定を受けた訪問看護ステーションの場合は助産師が含まれる))が訪問看護を行います。

また、リハビリテーション専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が訪問看護の範疇で、必要に応じて訪問する場合もあります。

訪問看護 を受けるには? 対象となる方

訪問看護を受けられる対象者は、主治医から訪問看護指示書を受けた、子どもから大人まで、訪問看護を必要とする人すべてです。

訪問看護を受ける際、患者となる人の年齢などの条件により、以下のように介護保険と医療保険のどちらを利用できるかが異なります。

介護保険

  • 対象者 65歳以上の要支援・要介護認定を受けている方(第1号被保険者)。 または40~64歳の方で介護保険上の「特定疾病※後述」による要支援・要介護認定を受けた方(第2号被保険者)
    • ケアマネジャーにご相談ください(地域包括支援センターや市区町村役所の介護保険(医療)窓口でも可)。
      • 介護保険の「介護認定」を受け、要支援または要介護に認定された場合は、ケアマネジャーが利用者の要望を尊重しながら居宅(介護予防)サービス計画を立て、訪問看護等様々なサービスを導入します。

医療保険

  • 対象者 上記以外の方。 また介護保険の対象者であっても厚生労働省が指定する難病を持つ場合や、末期の悪性腫瘍等以外の終末期。あるいは退院直後で、週4回以上の頻回な訪問看護が必要と認められた場合にも医療保険が適用されます。
    • お近くの訪問看護ステーションにご相談ください。
      • 訪問看護ステーションから、主治医と連絡をとり訪問看護指示書の交付を受け、訪問看護サービスを提供します。
    • 主治医にご相談ください。
      • 適切な訪問看護ステーション、もしくは保健医療機関等の訪問看護提供機関に指示が出て、訪問看護サービスを提供します。

医療保険では、厚生労働省が指定する難病を持つ場合のほか主治医からの「特別訪問看護指示書」や「精神科訪問看護指示書」が出された場合にその適用となります。 そのため、まずは担当のケアマネジャーに相談して、主治医の指示を仰ぎましょう。ちなみに上記の保険は併用できません。

患者の状況の変化によって、介護保険から医療保険に、医療保険から介護保険に切り替わります。もし要介護認定を受けていて、医療保険も適用可能な状況にある場合は、介護保険制度が優先されます。

40~64歳の方が 訪問看護 を受けられる「特定疾病」とは

介護保険が適用される訪問看護を利用できるのは原則「65歳以上」の方です。ただし、40~64歳の方でも下記の特定疾病をお持ちの方は、介護保険適用で訪問看護を受けられます。

関節リウマチ

身体中の関節に炎症による痛みやこわばりが現れる状態。筋肉や腱の機能低下により身体が動かしにくくなる

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

運動神経細胞の障害により、筋肉が萎縮し筋力が低下する病気。末期になるまで感覚障害や眼球運動障害、膀胱直腸障害、床ずれ(褥瘡)は認められない特徴がある

後縦靱帯骨化症

後縦靭帯が骨化して肥大し硬くなることで、脊柱管(脊髄の通り道)を圧迫。知覚障害や運動障害を引き起こす

骨折を伴う骨粗鬆症

腰背部痛を伴う脊柱の変形が特徴的である脊椎圧迫骨折や、転倒等の後に股関節の痛みを訴え起立不能となる大腿骨頚部骨折・転子部骨折など。日常生活レベルの運動負荷でも骨折を起こすこともあり、結果として寝たきりや歩行不能となるケースもある

初老期における認知症

もの忘れから始まり、意欲の低下や物事の整理ができなくなるアルツハイマー認知症や、もの忘れに加え、歩行や排尿に障害を伴う脳血管性認知症、意識レベルの変化やリアルな幻視体験が特徴のレビー小体認知症など。

パーキンソン病関連疾患

こわばり、ふるえ、動作緩慢、突進現象などのパーキンソン症状(パーキンソン病)をはじめ、異常な姿勢や垂直方向の眼球運動障害(進行性核上性麻痺)、大脳皮質症状が同時に見られる(大脳皮質基底核変性症)など

脊髄小脳変性症(SCD)

初期症状として歩行のふらつきや、ろれつが回らない、手の震えが現れ、非常にゆっくりと進行していく。末期には寝たきり状態になる

脊柱管狭窄症

脊柱管(脊髄の通り道)が狭くなり神経が圧迫されることで、歩行中にだんだん足がしびれてくるけど休むと回復する間歇性跛行(かんけつせいはこう)が起こる

早老症

若年性白内障、白髪、毛髪の脱落、骨の萎縮、血管や軟部組織の石灰化などが20代から起こる、遺伝子異常の病気

多系統萎縮症(MSA)

自律神経症状(起立制定血圧や排尿障害など)、パーキンソン症状(筋肉のこわばり、ふるえなど)、小脳症状(立っているときや歩行時のふらつき、ろれつが回らないなど)の症状が現れる

糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

糖尿病が原因で引き起こされる合併症。足のしびれや痛み、高血圧、むくみ、視力の低下などの症状が現れる

脳血管疾患

脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血などの疾患により、麻痺などの運動障害・感覚障害を引き起こし、通常の社会生活ができない状態

閉塞性動脈硬化症

全足の血管の動脈硬化がすすみ、血流が悪くなることで、冷感、しびれ、安静にしているときの痛み、壊死が起こる状態

慢性閉塞性肺疾患

肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎により、咳痰、呼吸困難を引き起こす病気

両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

両足の股関節、膝関節が変形し、痛みを伴い活動に制限がある状態

訪問看護 の訪問頻度

訪問頻度

訪問看護の訪問頻度は、対象の保険が医療保険か介護保険かによって下記のように異なります。

介護保険の場合

利用制限はなく、1回20分、30分、1時間、1時間半の区分があります。

医療保険の場合

週3回まで。1回30~90分以内。

厚生労働省が定める疾病等や特別な管理を必要とする場合は週4回以上、かつ1日に2~3回の利用が可能です。

訪問回数は利用する方の状態に応じて変わってきますが、がん末期などより頻繁な回数の訪問看護が必要と主治医が判断した場合は、「特別訪問看護指示書」が発行され、週4日以上(回数制限なし)訪問ができます。

ただし、特別訪問看護指示書は14日間有効となりますので、期限の延長時には再発行が必要です。

訪問看護 による費用目安

訪問看護

訪問看護にはそれぞれの内容で「単位」が定められており、1単位ごとの金額に応じて料金が決定されます。下記は、介護保険を利用して訪問看護を利用する場合の、1単位を10円とした時の料金表です(2024年6月1日時点)。

※地域によって1単位あたりの金額が異なるため、詳しくは利用する訪問看護ステーションに問い合わせてみてください。

訪問看護(要介護1~5)時間自己負担額
訪問看護ステーションの場合(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
理学療法士等による訪問の場合
314円
471円
823円
1,128円
294円
病院または診療所(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
266円
399円
574円
844円
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスと連携する場合
(1月につき)
2,961円
介護予防訪問看護(要支援1~2)時間自己負担額
訪問看護ステーションの場合(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
理学療法士等による訪問の場合 1回20分
303円
451円
794円
1,090円
284円
病院または診療所(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
256円
382円
553円
814円

※訪問看護は公的保険である介護保険、医療保険を利用することにより自己負担額を軽減することができます(負担する方の所得により、自己負担額が2~3割になる場合もあります)。

 医療保険には月間の支給限度額はありませんが、その方により負担割合が異なります。

  • 75歳以上の方は、原則として1割負担(一定以上の所得の方は3割負担)
  • 70歳以上75歳未満の方は、原則として2割負担(一定以上の所得の方は2割を負担)
  • 70歳未満の方は、原則として3割負担
  • 就学前の方は費用の2割負担

※交通費、おむつ代、ご逝去された場合の処置は自費負担となります

訪問看護の2024年度介護報酬改定内容

基本報酬の改定内容

訪問看護費・介護予防訪問看護費の基本報酬については、以下のとおり改定が行われます。

※()内は改定前の単位数になります。

訪問看護(要介護1~5)区分単位数
訪問看護ステーションの場合(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
理学療法士等による訪問の場合
314(313)
471(474)
823(821)
1,128(1,125)
294(293)
病院または診療所(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
266(265)
399(398)
574(573)
844(842)
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスと連携する場合
(1月につき)
2,961(2,954)
介護予防訪問看護(要支援1~2)区分単位数
訪問看護ステーションの場合(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
理学療法士等による訪問の場合
303(302)
451(450)
794(792)
1,090(1,087)
284(283)
病院または診療所(1回につき)20分未満
30分未満
30分以上60分未満
60分以上1時間30分未満
256(255)
382(381)
553(552)
814(812)

各加算・減算の改定内容

各加算・減算等については、以下のように新設・算定要件の変更等の改定が行われています。

  • 専門管理加算
    • 専門管理加算 250単位/月(新設)
    • 医療ニーズの高い訪問看護利用者が増える中で、適切かつより質の高い訪問看護を提供する観点から、専門性の高い看護師が訪問看護等の実施に関する計画的な管理を行うことを評価する新たな加算が創設されました。加算の算定には、緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修または特定行為研修を受ける必要があります。
  • 初回加算
    • 初回加算(Ⅰ)350単位/月(新設)
    • 初回加算(Ⅱ)300単位/月(変更なし)
      • 新規に訪問看護計画を作成し、病院や施設からの退院・退所当日に訪問看護を実施した場合、「初回加算(Ⅰ)」が算定可能となります。
      • 新規に訪問看護計画書を作成した利用者に対して、病院、診療所等から退院した日の翌日以降に初回の指定訪問看護を行った場合には、従来算定していた初回加算から名称変更となった「初回加算(Ⅱ)」が算定できます。
  • ターミナルケア加算
    • ターミナルケア加算 2,500/単位月(+500単位)
      • 介護保険における訪問看護のターミナルケアの内容が、医療保険におけるターミナルケアと同様であることを評価し、加算単位数が2,000単位から2,500単位に引き上げられました。死亡日および死亡前14日以内に2日以上のターミナルケアを行えば算定が可能です。
  • 遠隔死亡診断補助加算
    • 遠隔死亡診断補助加算 150単位/回(新設)
      • 離島などの地域で看護師が情報通信機器を活用し、主治医の死亡診断を補助した場合に算定できる加算です。看取り支援にかかる研修を修了した看護師が、診療報酬の死亡診断加算を算定した上で、本加算150単位/回が別途算定できます。
  • 口腔連携強化加算
    • 口腔連携強化加算 50単位/回(新設)
      • 利用者の口腔の状態の確認を行うことで歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、事業所と歯科専門職の連携の下、口腔衛生状態や口腔機能の評価を行い、歯科医療機関及び介護支援専門員への情報提供を評価する加算が新設されました。 月1回までの算定可能です。
  • 緊急時訪問看護加算
    • 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)看護ステーション: 600単位/月(新設)
    • 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)病院又は診療所:325単位/月(新設)
    • 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)介護看護事業所:325単位/月(新設)
    • 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)看護ステーション: 574単位/月(変更なし)
    • 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)病院又は診療所:315単位/月(変更なし)
    • 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)介護看護事業所:315単位/月(変更なし)
      • 従来の緊急時訪問看護加算は「緊急時訪問看護加算(Ⅱ)」に変更。 新たに24時間対応体制の充実と、夜間の看護師の業務負担軽減を図るため、「緊急時訪問看護加算(Ⅰ)」が創設されました(電話対応と緊急訪問の体制が整備されていれば算定可能です)。
  • 事業継続計画未策定事業所に対する減算
    • 事業継続計画未実施減算(施設・居住系サービス) 3%の減算(新設)
    • 事業継続計画未実施減算(その他サービス) 1%の減算(新設)
      • 感染症や災害発生時にも介護サービスを継続するために、事業継続計画(BCP)の策定が義務付けられました。BCPが未策定の場合、基本報酬から1%減算される「事業継続計画未策定減算」が適用になります(訪問看護は2025年3月末までの経過措置があります)。
  • 高齢者虐待防止の推進による措置未実施減算
    • 高齢者虐待防止措置未実施減算 1%の減算(新設)
      • 利用者の人権擁護と高齢者虐待防止を図るため、虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること等の措置が求められます。これらに未対応の場合は1%の「高齢者虐待防止措置未実施減算」が適用になります。
  • 理学療法士による訪問看護の評価見直し
    • 理学療法士等の訪問回数が超過している場合等の減算 8単位を所定単位数から減算
      • 訪問看護の役割を適正化する観点から、理学療法士等の訪問回数が看護職員を上回る場合に減算が適用となります。
      • 介護予防訪問看護費は、12月を超えて行う場合、介護予防訪問看護費の減算を算定している場合は、1回につき15単位を所定単位数から更に減算。 介護予防訪問看護費の減算を算定していない場合は、1回につき5単位を所定単位数から減算する。

まとめ

最期まで住み慣れた自宅で生活したいという願いは、誰しもがもっているものです。

訪問看護を利用することにより、医学的視点に基づいた病気の予防、持病の悪化防止、安全なケア、自立支援が期待できます。

特に要介護度の高い方や、持病をお持ちの方にとっては、訪問介護は在宅生活を続けるうえで頼もしいサービスとなるでしょう。

まとめ

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