地域密着型通所介護 とは? サービスの内容や通常の通所介護との違いについて解説
地域密着型通所介護 とは、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的な介護負担の軽減を図ることを目的に提供される地域密着型サービスです。
地域密着型サービスとは、事業所のある地域に居住する要介護認定を受けた人に限定し提供される、地域に密着した介護サービスを指します。
地域密着型サービスは、地域密着型通所介護を含め以下のサービスがあります。
※ 地域密着型サービスについては、こちらで詳しく解説しています。
関連記事:地域密着型 サービスとは? サービスの種類や特徴について解説
通所介護(デイサービス)との違い
2016年4月1日介護保険改定により、一つの枠であった通所介護(デイサービス)から、新たに区分された地域密着型通所介護は、利用定員は19人未満となっており、市町村管轄により各地域の特性を活かしたサービスを提供し、利用者のニーズにあわせて少人数ならではの柔軟な対応が特徴のサービスとなっており、都道府県管轄の通常型通所介護(デイサービス)とは明確に区分されています。
※ 通常型通所介護(デイサービス)に関しては、こちらで詳しく解説しています。
関連記事:通所介護 (デイサービス)とは? サービスの内容を詳しく解説!
引用元:厚生労働省
地域密着型通所介護 で受けられるサービスとは
地域密着型通所介護で受けられるサービスは、食事や入浴、排泄などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどのリハビリテーションがあり、これらは通常規模デイサービスと殆ど違いはありません。
しかし、地域密着型通所介護のほうが小規模である分、利用者のニーズに対応しやすかったり、地域に応じた特色があったりする側面があります。
健康チェック
血圧や体温などのバイタルチェックを行い、健康状態の確認をしてくれます。 その他にも、生活上の健康に関するアドバイスや相談を受けることも可能です。
入浴介助
利用者の要望や身体状況にあわせて、介護職員の介助を受けながら安心・安全に入浴ができます。
車いすのまま入浴できたり、寝た状態での入浴が可能な機械浴槽を備えている場合があります。
食事介助
栄養バランスの取れた食事をとることができます。
食事制限が必要な方、咀嚼(噛む)や嚥下(飲み込み)が困難な場合は、介護職員により食事介助が行われます。
排泄介助
ひとりで排泄することが難しい方や排せつ機能に障害を持つ方には、介護職員がトイレへの誘導、排泄の手伝い、おむつ交換等を行います。
機能訓練
日常生活に必要な動作の獲得・改善を目指し、利用者の身体状況やニーズにあった機能訓練を実施します。
レクリエーション
集団体操やカラオケ、脳トレなど、利用者が楽しんで行えるような内容でレクリエーションを行います。
レクリエーションは、ストレスの発散や利用者同士の交流の促進などのメリットが期待できます。
送迎
地域密着型通所介護でも、施設職員が自宅と施設の送迎をしてくれます。
送迎の範囲はセンターごとに定められているため(通常片道30~40分程度)、その範囲を超えると対応出来ないか、家族による送迎が必要な場合もあります。
地域密着型通所介護 の職員体制
地域密着型通所介護の人員基準は、下記のとおり人員配置が定められています。
※ 地域密着型通所介護定員が10人以下の場合、看護職員または介護職員の勤務時間数の合計をサービス提供時間数で割った数が1以上となるように、看護職員または介護職員を配置することが認められています。
つまり、定員10名以下の場合は看護職員または介護職員のいずれか1名を配置すれば人員基準を満たすことになります。
- 管理者
- 専従の常勤者1名(兼務可)
- 管理者は、施設の管理や運営、人材マネジメントなどを行います。小規模施設の場合は、介 護業務を行いながら管理業務も兼務することがあります。
- 生活相談員(社会福祉士等)
- サービス提供時間に応じて専従で1人以上
- 生活相談員は、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持ち、施設利用に関する相談に応じます。ケアマネジャーと連携しながら、連絡調整や契約手続きなどの事務も担当します。
- 看護職員(看護師・准看護師)
- 単位ごとに専従で1名以上(提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能)
- 看護職員は、看護師または准看護師の資格を持ち、利用者の健康状態の確認や医療的ケアなどを行います。
- 介護職員(介護福祉士等)
- 単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で、利用者数が15人までの場合は1人以上、利用者数が15人を超える場合は、利用者数が1増すごとに0.2人を加えた数以上を配置。または、単位ごとに常時1名配置すること。
- 介護職員は、食事や入浴など身の回りの世話や移動介助など様々なケアを行います。レクリエーションの計画や実施も担当します。
- 機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師)
- 専従で1人以上
- 機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師または、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持っています。できる限り自立した日常生活を送るために様々な機能訓練を実施します。他の職種と兼務することも可能です。
地域密着型通所介護 の利用方法と、その対象者
地域密着型通所介護を利用できる対象者
原則65歳以上で、要介護度1以上に認定されている高齢者で、事業所の所在地と同じ市区町村に住民票がある方が対象です。
地域密着型通所介護 の利用方法
まずは要介護認定を受けるために、市区町村役場で要介護認定の申請をする必要があります(申請から約1ヶ月程で、認定結果が記載された介護保険証が届きます)。
認定結果が要介護の方は、居宅介護支援事業所へ相談し、どこのデイサービスを利用するか決めましょう。
※ 居宅介護支援事業所については、こちらで解説しています。
関連記事:居宅介護支援 とは? ケアマネジャーの役割について解説
認定結果が要支援の方は、総合事業の通所型サービスが利用できますので、地域包括支援センターへ相談します。
総合事業の通所型サービスは、介護予防を目的とし、デイサービスセンター等の施設で、入浴、排泄、食事等の介護、日常生活上の支援や機能訓練、レクリエーション等を日帰りで利用できるサービスです。
※ 介護予防・日常生活支援総合事業( 総合事業 )はこちらで解説しています。
関連記事:介護予防・日常生活支援総合事業( 総合事業 )とは?
地域密着型通所介護 の利用料金
地域密着型通所介護は、通常のデイサービスと比較すると料金がやや高い傾向にあります。
通常型通所介護(デイサービス)と同様、自己負担額は費用の1~3割です。 また、要介護度、利用時間、利用するデイサービスの種類、施設の所在地等によって金額が異なります(下表参照)。
また、介護保険の給付の対象になっていない食事やおやつの代金、娯楽で使用した材料費などは自己負担となります。
オムツを使用している方は、家で使用しているものをあずけることが可能なところもあります。
地域密着型通所介護 1日当たりの自己負担額(1割の場合)の目安
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
3~4時間未満 | 416円 | 478円 | 540円 | 600円 | 663円 |
4~5時間未満 | 436円 | 501円 | 566円 | 629円 | 695円 |
5~6時間未満 | 657円 | 776円 | 896円 | 1,013円 | 1,134円 |
6~7時間未満 | 678円 | 801円 | 925円 | 1,049円 | 1,172円 |
7~8時間未満 | 753円 | 890円 | 1,032円 | 1,172円 | 1,312円 |
8~9時間未満 | 783円 | 925円 | 1,072円 | 1,220円 | 1,365円 |
※お住いの地域により単価が異なります(上記表は1単位10円の場合となります)。
※2割負担の場合は上記金額が2倍、3割負担の場合は3倍になります。
地域密着型通所介護 代表的な加算
入浴介助加算(Ⅰ) | 一般浴と機械浴の区別なく入浴介助を行った場合 | 40円 |
入浴介助加算(Ⅱ) | 身体の状況や居宅の状況に近い環境を踏まえた個別入浴計画を作成し、入浴介助を行った場合 | 55円 |
生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 外部のリハビリテーション専門職と連携して、機能訓練のマネジメントを行った場合 | 100円/月(3月に1回を限度) |
生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 外部のリハビリテーション専門職が事業所を訪問し、機能訓練のマネジメントを行った場合 | 200円/月 100円/月(個別機能訓練を算定している場合) |
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ | 専従の機能訓練指導員を配置し、個別機能訓練計画に基づき、身体機能及び生活機能向上を目的とする機能訓練を行った場合 | 56円 |
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ | 個別機能訓練(Ⅰ)イの要件に加え、サービス提供時間帯通じて専従の機能訓練指導員を配置した場合 | 76円 |
個別機能訓練加算(Ⅱ) | 個別機能訓練加算(Ⅰ)に加えて、個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省へデータ提出した場合 | 20円/月 |
ADL維持等加算(Ⅰ) | 評価期間に連続して6ヶ月以上利用した期間のある要介護者の集団について要件を満たした場合 | 30円/月 |
ADL維持等加算(Ⅱ) | ADL維持等加算(Ⅰ)の要件を満たし、評価期間の終了後にもBarthelindexを測定し、介護支援専門員へ報告した場合 | 60円/月 |
中重度者ケア体制加算 | 中重度の要介護者を受け入れる体制を構築し、サービスを実施した場合 | 45円 |
※ここに記載されているのは一部です。 サービス事業所によっては、別途加算が発生する場合があります。
※別途、必要に応じ昼食代やおやつ代が発生します。
まとめ
いかがでしたか?
地域密着型サービスは、介護を必要とする高齢者が可能な限り住み慣れた地域で暮らしを継続できるように支援するために、地域が主体となって提供する介護サービスです。
地域密着型通所介護では、少人数制で、利用者一人一人の個別のニーズに合った介護スタッフの細やかなサービスが期待できます。
地域密着型通所介護の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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