地域密着型 サービスとは? サービスの種類や特徴について解説

地域密着型 サービスは、平成18年4月1日の介護保険制度改正により創設された市町村指定の事業者が地域住民に提供する介護保険サービスです。

今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が、出来る限り住み慣れた地域で生活が継続できるように、地域の特性を活かし、その地域に添ったサービスを提供するために、市町村が事業者の指定や監督を行います。
施設などの規模が小さいので、利用者のニーズにきめ細かく応えることができると期待されており、事業者が所在する市町村に居住する者が利用対象者となっています。

地域密着型サービスとは

お住まいの市町村によってサービス内容が異なりますので、ご利用の際にはケアマネジャーや地域包括支援センター、市町村の介護保険担当窓口にお問い合わせください。

地域密着型 サービス導入の背景

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を実現することが求められています。

高齢化が進む現代の日本において、高齢者向けの介護施設・事業所の存在は欠かせなくなっていますが、市町村によって、高齢者の人口も施設・事業所の数にもばらつきがあることがわかっています。

そこで必要なのが、市町村単位で介護施設・事業所の指定や監督を行う「地域密着型サービス」が新設されました。

地域密着型サービスの創設

引用元:厚生労働省

地域密着型 サービスの対象者

地域密着型サービスの対象者は、要介護認定を受けている方で、原則としてサービス事業者と同じ市町村に居住している方が対象となります。

なお、要支援の認定を受けている方の地域密着型サービスでは、介護予防を目的とした「介護予防小規模多機能型居宅介護」「介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」等のサービスを提供しています。

対象者

地域密着型 サービスの種類

サービスの種類は次のとおり12種類となっています。平成24年4月1日、新たに二つのサービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービス)が加わり、平成28年4月1日には地域密着型通所介護が加わりました。

小規模多機能居宅介護

小規模多機能居宅介護は、中重度となっても在宅での生活が継続できるように「通い」を中心としながら「訪問、短期間の宿泊」などを組み合わせて利用することができる小規模な住宅型施設で提供する月額制のサービスです。
一つの事業者で様々なサービスを利用できるため、顔なじみのスタッフからサービスを受けられる安心感が得られます。

要支援1・2の方は、介護予防小規模多機能型居宅介護としてサービスを利用することになります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問看護介護は日中・夜間を通じて1日複数回の定期訪問と随時の対応を介護・看護が一体的に、又は密接に連携しながら提供されるサービスです。 介護職員や看護師などが定期的に自宅を訪問し、食事・排泄・入浴の介護や療養上のお世話を行います。
また、利用者の急な体調不良やトラブルがあった時などの緊急の連絡に、24時間体制で介護職員・看護職員が随時対応してくれます。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

看護小規模多機能型居宅介護(複合サービス)とは、小規模多機能型居宅介護に訪問看護がプラスされたもので、医療依存度の高い人や退院直後で状態が不安定な人向けのサービスです。

小規模多機能型居宅介護と同様に「通い」を中心としながら、「宿泊」・「訪問介護」に加えて「訪問看護」が利用できる複合型のサービスです。

なお、要支援の方は利用できません。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護には、「定期巡回」と「随時対応」の2種類があり、夜間帯でも訪問介護員(ホームヘルパー)等が夜間に自宅に来てくれるサービスです。

定期巡回は、18時から翌朝8時までの夜間帯にホームヘルパーや看護師などが定期的に訪問し、排泄介助や安否確認等のサービスが受けられます。

随時対応は、転倒し自力で起き上がれない場合や急な体調不良の場合などにコールボタンを押すと、すぐにオペレーターが対応しホームヘルパーによる介護や救急車の手配等を行うサービスです。

要支援1あるいは要支援2の方は利用できません。

地域密着型通所介護

地域密着型通所介護とは、定員18人以下の小規模なデイサービスで、入浴や食事などの介護支援や機能訓練、レクリエーションを楽しむ時間などを、日帰りの時間帯の中で提供するサービスです。

要支援1あるいは要支援2の方は利用できません。

認知症対応型通所介護

認知症の診断がある人のみ利用できます。 定員が最大12名なので、少人数で個別介護が可能です。認知症対応型通所介護は、食事、入浴などの介護や支援、機能訓練を日帰りで利用できる、認知症の方に限定したサービスです。

要支援1・2の方は、介護予防認知症対応型通所介護としてサービスを利用することになります。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者が共同で生活する住居であり、食事・入浴などの介護や支援、機能訓練が利用できます。5~9名の少人数で、介護職員による24時間専門的な支援体制により、ご利用者同士が共同生活を行うことで社会的交流が生まれ、それぞれの能力を活かしながら家庭的な雰囲気の中で生活を送ります。

要支援2以上の方が利用でき、要支援2の方の場合、介護予防認知症対応型共同生活介護としてサービスを利用することになります。

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護は、入居定員30人未満の小規模な介護専用の有料老人ホームや、軽費老人ホームなどで、食事・入浴等の介護や機能訓練等が利用できます。

要支援の方は利用できません。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、要介護者を対象とする定員30人未満の小規模な特別養護老人ホームで、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練等を利用できます。

原則として要介護3以上の方が入居できます。

地域密着型 サービスは運営推進会議が必須

運営推進会議はサービスの質を確保することを目的に設置されており、地域密着型サービスを提供する事業所が、提供しているサービスの内容を利用者や市区町村職員、地域住民の代表者に明らかにすることで、サービス内容を地域全体にひらかれたものとしています。 利用者とその家族、地域住民の代表者(町内会役員、民生委員など)、事業所が所在する市町村の職員や、地域包括支援センターの職員が構成員となります。

運営推進会議

会議の開催頻度は下記のようになります。

  • 運営推進会議の開催頻度
    • 2ヵ月に1回以上
      • 小規模多機能型居宅介護
      • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
      • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
      • 地域密着型特定施設入居者生活介護
      • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
    • 3ヵ月に1回以上
      • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
    • 6ヵ月に1回以上
      • 地域密着型通所介護
      • 認知症対応型通所介護

地域密着型 サービスを利用するまでの流れ

「地域密着型サービス」を利用するためには、以下の条件を満たしている必要があります。

  1. サービス事業者のある市区町村に住民票がある方
  2. 要介護認定を受けている方
  3. 65歳以上(40~64歳で特定疾病により要介護を受けている方も含む)

地域住民にきめ細かなサービスを提供するといった趣旨の介護サービスのため利用するには、その地域に住んでいる証明として住民票が必要となります。

  1. 要介護認定を受けていない場合は、市町村へ要介護認定申請を行う
  2. ケアプランを作成してもらうため、居宅介護支援事業所(※1)を選定し地域密着型サービスを受けたい旨を相談
    • 利用するサービスが「(看護)小規模多機能型居宅介護」の場合、担当ケアマネジャーが(看護)小規模多機能型居宅介護に所属しているケアマネジャーになります。
  3. 利用したい地域密着型サービス事業者を調べ、サービス内容、費用、空き状況等を確認
  4. 地域密着型サービス事業者と契約を締結し利用開始

まとめ

地域密着型サービスは、介護を必要とする高齢者が可能な限り住み慣れた地域で暮らしを継続できるように支援するために、地域が主体となって提供する介護サービスです。

認知症高齢者がますます増加していくことからも、地域住民による見守りは必須となってきます。ボランティアや元気な高齢者を始め、地域の社会資源(担い手)を最大限に活用する仕組みを構築することが重要となるでしょう。

財源や人材確保やシステム構築など課題がありますが、これからの日本の介護を支えるうえで欠かせないサービスとなることが期待されています。

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